(1)始めやすく便利になった純金積立
金投資にはさまざまな方法がありますので、自身のライフスタイルにあわせて適切なものを選択することが重要です。
世の中には専業トレーダーのように手間をかけてでも自力で資金を大きくする醍醐味を味わいたいという人もいれば、できるだけ手間がかからない方法で増やすのがよいと考える人もいます。
金の場合は他の投資対象と比べて特殊な面として、現物そのものに芸術的な価値があることが挙げられ、たとえば国内でも何らかの行事の記念金貨、あるいは明治時代などの古い時代に発行された高額通貨の一種としての金貨などは、デザインにも優れていて、コレクター間で高値で取引されることがあります。
別に古銭のコレクターではなかったにしても、金の輝きに魅了されるのは自然なことであり、そのために同じく投資をするのであれば現物を手に入れることにこだわりたいという人もいることでしょう。
このような方法のなかでも特に投資の初心者が注目したいものに純金積立があります。
ごく簡単に説明すれば、毎月一定の金額に該当する純金を購入して積み立て、やがて大きな資産を形成することを目指す方法といえます。
これらは純金を取り扱っている商社や証券会社などを通じて取引することができ、最近はいわゆるネットバンクのようなインターネットでのやり取りができる会社も積極的にこの分野に参入してきています。
そのため購入にあたってわざわざ店舗を訪れなければならないといった、従来のような手続きも必要なく、ごく気軽に取引ができるようになってきています。
もちろんこのように便利になった背景としては、純金積立が広く世間の人気を博していることが挙げられ、そのメリットを知っておくと人気があることにも自然と納得がいくものです。
(2)金取引をするメリット
たとえば金の資産価値は世界の共通認識になっていることがあります。
投資の手段には株や為替などいろいろなものがありますが、たとえば戦争やテロ、自然災害などが発生した場合、その国の通貨や株式はいとも簡単に暴落してしまい、場合によっては紙切れ同然の扱いを受けてしまうことがあります。
ところが金を考えてみると、有事であってもその価値が完全になくなることはなく、かえって有事の金などといわれるとおり、他の資産から乗り換えるトレーダーが増えて売買価格が高騰することのほうが多いといえます。
このように現物資産としての抜群の安定性をもっていることは、金の取引をする上での大きなメリットです。
このことに関連して、純金積立であればリスクを平準化できるということも挙げられます。
金がいくら安全資産だとはいっても、やはり需要と供給の関係で取引価格は刻々と変化しています。
そのため価格が高騰するときもあれば逆に下落することもあるといった具合に、常に価格には波があるものと考えておくのがよいでしょう。
もしも価格が高いときに大量に金を購入してしまった場合、その後価格が下落すると一気に損失が膨らんでしまいますが、実は純金積立では毎月少しずつ購入という特徴があるため、価格が高いときに購入したもの、安いときに購入したものを足し合わせて平均すると、このような価格変動の影響を受けていないのと同然の結果となります。
(3)長期的な運用はメリットになる
投資にはリスクが付き物といわれますが、逆にリスクを分散させて大きな影響を受けないようにする知恵が積立による方法です。
純金積立には少額から取引ができるというメリットもあります。
株取引などを考えた場合、最初にある程度の元手となる資金がなければ有望な銘柄を購入することさえできません。
購入ができなければ値上がりによって利益を得ることもできず、投資が成立しなくなってしまいます。
これは一般的な投資の方法すべてにいえることですが、純金積立であれば毎月千円程度のごく少額からでも取引が可能という会社が多く、たとえ潤沢な資金がなくても投資に参加することが可能です。
要は銀行の定期預金などで現金を積み立てるのと同じ感覚ですが、銀行預金は現在のような低金利のなかではほとんど利息が増えることはないのに対して、金の価格は固定ではなく日々変動していますので、それ以上のリターンを得ることができる可能性があります。
このようなさまざまなメリットがあるいっぽうで、デメリットについてもまったくないわけではありませんので、両方を見比べてメリットのほうが上回ると判断できるかどうかが鍵となります。
このデメリットに関しては、たとえば長期間にわたってこつこつと実績を積み上げるタイプの投資法のため、短期間で多額のリターンを得る目的には向いていないということが挙げられます。
短期決戦主義を貫くのであれば、為替や株のほうにこそ勝機があるといえますが、これは暴落のリスクと裏腹の関係です。
ほかにも取引に際して一定の手数料がかかりますので、銀行預金のように無料でいくらでも預け入れることができるわけではないことにも注意する必要があります。
※参考ページ:株式会社 ゴールドリンク 藤田 栄喜