ユニセフが誕生した経緯について
ユニセフは、正式名称は日本訳でいうと国際連合児童基金となりますがではなぜ通称がユニセフになっているかというと英語での正式名称がUnited Nations Children’s Foundとなっているのでその頭文字をつなぎあわせてUNCIEFとなり、このユニセフという名称で呼ばれているのです。
この組織は1946年12月に設立されており、国際連合総会の補助機関という位置づけがされています。
国連の補助機関はその本部が世界各地にあったりするのですがたまたまこのユニセフは国連本部と同じくニューヨークに本部があります。
この組織の目的ですが、設立された1946年という時代を考えると分かるとおり、第二次世界大戦が終わって戦後の生活への立て直しが各国において行われた時代であり、日本においてはまだGHQの占領政策が行われていた時代でありとにかく食べるのも大変なご時世であったということが想像できると思われます。
そして戦争があったということは大人が戦場等で死ぬことや、各国で空襲などが行われることにより戦場に行かない一般市民も死亡するという痛ましい事態が起こっていたということなのです。
写真/http://vivit.blog.jp/archives/38338172.html
このような事態が起きるとどうなるかというと親が死んで孤児になるというような子どもがたくさん出たということです。
また親がいる子どもであっても、そもそも親が食べるものがないという時代ですので子どもも食べるものがなくミルク等にも事欠いたという時代にあったのです。
このような事態を国際連合として放置しておくことはよろしくないという建前と、このまま放置しておくと食い詰めた国でまた戦後秩序が気に入らないとして暴動から戦争に発展した第1次大戦後のドイツのような国が出てくるとまずいという本音をおりまぜながら戦後の緊急援助として子どもに特化した対策及びその活動を行うこととなったのです。
その活動を担う組織として誕生したのでした。
日本も戦後ユニセフにお世話になり助けられた歴史がある
日本においてもこのユニセフの活動によって、脱脂粉乳や医薬品等の支援を1949年より1964年に掛けて受けています。
時代は朝鮮戦争が始まる頃でしたが朝鮮特需等の効果等ではまだまだ日本が豊かな国として立っていた時代とは言えなかったのです。
さらにこの援助の期間が最初の東京オリンピックが開催される時期まで続いていたということは当時はやはり敗戦国で貧しい状況にあったということがうかがえます。
このような戦後の子どもを対象とした緊急援助という性質が戦後復興が進むにつれてだんだん薄れてきて各国において戦争によって被害を受けた子どもに対する対策が行えるようになっていったためこの組織をどうするのかという問題に直面します。
一つの考え方は緊急対策が終わったのだから解散するのがよいのではというのを思いつく方もいらっしゃるでしょうが、実際はそれとは別の選択をしました。
すなわち活動範囲を広げるという選択です。
写真/https://news.yahoo.co.jp/byline/satohitoshi/20170705-00072844/
そして名称も現在の名称に変更されて、緊急対策という組織から活動範囲を広げて、内戦や開発途上国、そして戦争で被害を受けた子どもたちの支援というのを通常業務として行う組織となります。
さらには従来の子どもに対する物資の供給ということが中心に行われてきたことに対して、この物資を実際に使う親にまできちんと行き渡っているのかということに留意する体制になるとともに、たとえ物資を行き渡らせても使い方がわからなければごみになってしまうという問題意識のもとに子どもに対する支援を行うためにその子どもを育てる親に対する啓発活動などを行うようになってきています。
東京都渋谷区に東京事務所が設置されている
援助は必要だけれどもただ援助するだけでは永遠にその人達は援助されないと生きていけないという無限ループを断ち切って生活の自立という側面に着目した親への栄養教育など普及啓発に努めているのです。
このようなコンセプトで現在まで活動が続いているのですが本部だけではなく支部も組織化されています。
日本においても東京都渋谷区に東京事務所が設置されており、日本と韓国の兼任代表の執務がここで行われているのです。
主たる業務としては各国と折衝して資金を調達することですが、研究機関や学術団体などの支援も行っております。
またこの国連の補助機関に連なる支部とは異なる組織として日本ユニセフ協会というものが存在します。
これは国連の機関とは別の組織で非政府組織という位置づけになっています。
この非政府組織と国際連合に連なる機関の関係は、この非政府組織が機関の運営に資するものと考えられた場合にはこの機関が非政府組織を承認して、ともに手を携えて子どもの支援を行っていくという関係になるのです。
そして、一般に知られるような民間の募金などの活動についてはこの非政府組織が一手に行うこととなっており、民間部門からの支援を受ける各国の窓口という位置づけになっています。
しかもこの非政府組織が集めてきた資金が本部の運営の30%程度を占めていることからかなり影響力の大きい組織といえるのです。